日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【橘】不老不死の力を持つと尊ばれた果実」です。

 

「永遠」を願い、文化勲章のデザインに

この植物は、『万葉集』では、ハギ、ウメなどに続いて多くに詠まれ、68首に登場します。

昔は、この果実は、不老不死の力をもつものとして尊ばれました。そのため、東京へ遷都されるまでの皇居であった京都御所の紫宸殿(ししんでん)や、京都三大祭の一つである時代祭で知られる平安神宮の社殿には、「左近の桜」に対する「右近の橘」として、この木が植えられています。

 

平安神宮の社殿の右近(うこん)の橘

 

この植物は、葉が一年中緑に輝く常緑樹なので、永遠の発展を願う家紋として多く使われています。また、永遠であるべき文化の勲章にふさわしいという趣旨から、この植物の五弁の花が文化勲章のデザインに使われています。