イラスト:マルー
阿川佐和子さんが『婦人公論』で好評連載中のエッセイ「見上げれば三日月」。今回はアガワさんの稀なるマイブームについて。「継続力」が欠けているとおっしゃるアガワさんが珍しく続いているマイブームは「酢」。対談相手の女優さんについて調べているうち、美しさの秘訣は「豆乳×ブドウ酢」という情報が。家にある豆乳も消費できて一石二鳥、と始めた「豆乳酢」習慣の結果は…。

いっとき「マイブーム」という言葉が流行った。

「アガワさんのマイブームはなんですか?」

問われるたび、返答に窮した。マイブームねえ。別にないなあ……。

もともと「凝る」とか「ハマる」ということと縁の薄いオンナである。凝ったりハマったりするには継続力が必要だ。私には生来、「継続力」が欠けている。コツコツ続けて成果を上げる。そういう立派な方はまわりにたくさんおられる。だから私も頑張ろうと最初は燃える。ところが成果を得るまで続けたことはいまだかつて一つもない……と思う。

だから今、ここで記そうと思っている私の稀なるマイブームも、早晩、終わりのときを迎えるであろうことは容易に予測できる。しかし、私にしては珍しく続いているのだ。これは画期的なことである。なぜか。早くもかすかな成果が表れているからである。

その名は「酢!」。

ことの発端は、世にも美しい女優さまと対談をするにあたり、あれこれ資料を読みあさっていたら、その美しさの秘訣の一つとして、「毎朝、豆乳にブドウ酢(ワインビネガーではない)を入れ、ヨーグルト状になったものに、さらに低脂肪ヨーグルトを加え、その日のフルーツを4種類入れて食す」という記事が何度も登場したからだ。ん? と私はにわかに反応した。これは試してみたいものだ。

その女優さまを見習って美しくなれるかもと期待したわけではない。「ウチにある豆乳をどう活用するか」という課題を抱えていたからだ。故あって我が家にはたくさんの豆乳がある。以前、台湾を旅した折、朝食に豆乳を食べる(飲む?)習慣を知り、そのおいしさに感動して以来、豆乳にハマったという話を雑誌に書いたところ、日本の豆乳製造会社から「そんなにお好きなら是非広めてください」とたくさんお届けいただいた。なんとありがたや。深く感謝しているのだが、そうはいっても毎日毎朝、消費できるわけではない。だからいつまでも減らない。台湾流に、温めて酢と醤油と塩少々、干し海老や香菜を加え、スプーンですくって食べる方法は何度も試し、それはそれでたいそうおいしいのであるが、毎日は続かない。ときどきトーストも食べたくなるし、納豆ご飯にする日もある。さて他にどうやっておいしく食する手立てがあるだろう。そう思っていた矢先であった。