第1回が配信されるやいなや、大きな話題になった翻訳家・村井理子さんの隔週連載「更年期障害だと思ってたら重病だった話」。47歳の時に心臓に起きた異変。入院後、苦しい経食道心エコー検査やカテーテル検査を乗り越え、病名は「僧帽弁閉鎖不全症」と判明。「神の手」と呼ばれる医師のいる大学病院に転院し、手術を受けることになる。ところが、心臓手術の翌日、待っていたのは歩行訓練、そして激しい痛み。主治医のK先生に「痛みを我慢するは必要ない」と言われ、心機一転リハビリに精を出す村井さんだが……。『全員悪人』の著者が送る闘病エッセイ第19回。

前回●「バッチリっす!痛みを我慢する必要ないです」と主治医に言われ、積年の恨みが消え失せた話

私の顔を見るなりぎょっとした夫

術後1週間ほど経過した頃からだったと思う。自分の体がどんどん変化していることに気づき始めた。朝起きて、顔を洗う。洗った顔を鏡で見る。そして、毎朝驚くのだ。なれ親しんでいたはずの本当の自分の顔、しばらく目にしていなかったら、うっかり忘れかけていた私の顔が、徐々に戻って来ていた。

目覚めて鏡を見るたびに、昔の顔が戻ってくる。これは単純に、浮腫が解消されてきていたこともあるけれど、とにかく顔色が違う。術後2日で病室にやってきた夫は、私の顔を見るなりぎょっとしていた。

私がヨレヨレだからぎょっとしたのもそうだったらしいが、あまりにも顔色がいいので、心底驚いたらしい。だったらそれまでの私はどうだったのかと言いたくもなったけれど、この変化は自分でも十分に感じ取っていた。確かに、顔色がとてもいい。一気に10歳ぐらい若返った気がした。