アタイたちはお魚や。「死んだモン」になった

小説のほうは、読者に別れを予感させるだけだ。実際にジョゼと恒夫が別れるかどうかは分からないが、限りなく別れるであろう可能性が伺える。

そしてその場面で、ある名台詞が登場する。映画にはない台詞だ。

私があらゆる小説の別れの場面のなかで、いちばん好きな文章だ。なんといっても、名文としか言いようがないのが、ここ。

ジョゼは幸福を考えるとき、それは死と同義語に思える。完全無欠の幸福は、死そのものだった。(アタイたちはお魚や。「死んだモン」になった――)」。

――「別れ」を予感させる場面として、なんて美しい台詞なんだろう、と思いませんか。