正しい知識を持つことの大切さ

不安がはびこる社会では、正しい知識を持つことが大事です

竹内脳にかかる負荷が大きいので、人はみんな考えたくないのですね。詳細に数字を示し、日本のエネルギーの危機的状況を説明してもなかなか納得してもらえなかったわけがよくわかりました。それなのに、大きな地震の後に北海道でブラックアウト(2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震に伴う大規模停電)が起きたり、地球温暖化の影響が指摘される大型台風や集中豪雨によって、停電の被害が頻発したりすると、みんなが危機意識を持つようになり、エネルギーの安定確保に向けた原子力の役割も理解するようになります。言葉を尽くして説明するより、実際の体験や感情に訴えることのほうが、伝わりやすいのでしょうね。中野さんは、実際に原子力発電所を視察したことがあるそうですが、どんな印象でしたか?

中野かつて東京大学にあった原子力工学科は、最も優秀な学生が集まる花形の学科でした。私は工学部だったので、その叡智の結晶である技術をたいへん興味深く拝見しました。原子力と聞くと、それだけで思考停止してしまう方もいますが、原子力発電は、発電時に二酸化炭素を出さず、エネルギー効率に優れているという特徴があります。そのことは、お隣の中国で、多くの原子力発電所が今まさに新設されつつあることでもわかりますね。反対か賛成かの立場を離れ、そのしくみや特性について正しく知ることはいずれにしても重要だと思います。

竹内知らないからこそ不安に思うことは多いですから、エネルギーと環境についての正しい情報を発信していく取り組みは、これからも必要ですね。

中野不安がはびこり、さまざまな情報が錯綜する社会では、正しい知識を持つことはとても大事です。だからこそ私も、人々が少しでも安心し、幸せを感じることができるよう、脳科学の観点から、正しい情報をお伝えしていければと思います。

竹内僕は今日、中野さんのお話をうかがい、疑問や不安を解消することができました。本当にありがとうございました。これからのご活躍にも期待しています。

中野 信子(なかの・のぶこ)

1975年東京都生まれ。東京大学工学部応用化学科卒業、同大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。2008〜10年、フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務。著書に『キレる!』『ペルソナ脳に潜む闇』、『生贄探し暴走する脳』(ヤマザキマリさんとの共著)などがある

竹内 薫(たけうち・かおる)

1960年東京都生まれ。「科学応援団」として、テレビ・ラジオ、講演などで活躍中。2016年にトライリンガル教育を行うYESインターナショナルスクールを開校。『10年後の世界を生き抜く最先端の教育』(茂木健一郎さんとの共著)、『中高生の悩みを「理系センス」で解決する40のヒント』、『WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か』(訳)ほか著書多数

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