〈ライバル〉の条件

物語のなかで、才能同士の拮抗、というテーマはしばしば存在する。音楽家、アスリート、作家、俳優。自分たちの才能を競う物語たち。

個人的な好みだが、私は、フィクションのなかでいちばんドラマチックな関係性は、ライバル関係だと思っている。

なぜなら、ライバルって、現実においてはそうそう存在しないから。

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スポーツ、芸術、仕事、趣味、フィールドはなんでもいい。自分がなにかを目指すとき、その傍に、同じ場所を目指す人がいれば。その人は、ライバルになるのだろうか?

たぶん、同じ場所を目指しているだけでは、ならないのだ。そうじゃなくて、「ふたりは対等ですよ」と作品内で表現することが必要になってくるのだと思う。

じゃあ、なにがふたりを対等にさせるのか? 努力の量? 姿勢? 思想の深さ?

これは私自身の考え方になるのだが、対等さは、「相手のことを理解できているかどうか」という点に存在するのではないか、と思っている。

理解。つまり、相手のことを理解できているのは自分だけだ、という一点において、ふたりのライバル関係は存在するのではないだろうか。

他人への理解は、その他人と同じレベルにいないとできない。相手のことが見えていなくて、自分のことしか見えていない場合、理解は存在しないからだ。