「疲れが取れない」「なんとなくだるい」などの不調は、栄養不足のサインかもしれません。最近増えていると言われる「新型栄養失調」もそのひとつ。きちんと栄養を摂るためのコツを、管理栄養士に聞きました

毎日食事をしていても栄養が摂れていない

現代人に「新型栄養失調」が増えているのをご存じでしょうか。飽食の時代になぜ? と思うかもしれません。新型栄養失調とは、摂取カロリーは足りていても特定の栄養素が足りていないこと。主に、ビタミン、ミネラルが不足している状態を指します。新型栄養失調を放置すると、免疫力が低下したり、血管がもろくなったりするため、年齢が高くなるほど注意が必要です。

管理栄養士の赤石定典さんはその原因について、「自分の好きなものを好きなだけ食べられ、何でも手軽に手に入る時代になったことで、かえって栄養が偏りがちになっている」と指摘します。

「忙しいときはおにぎりやパンだけですます人も多いのではないでしょうか。夏なら、のどごしのよいそうめんや蕎麦ばかりという人も。それでは、炭水化物過多や脂質過多になり、ビタミンやミネラルが不足してしまいます。とくに暑さで食欲が低下する夏は低栄養になりやすいので、注意が必要です」(赤石さん。以下同)

過ごしやすい季節になっても疲れが取れないなら、栄養不足を疑ってほしいと言います。また、『婦人公論』世代は、加齢により消化・吸収力が低下し始めるのも問題だと指摘。

「食べ物は口から入ると唾液で分解され、次に胃液で分解。その後、小腸に移動してほとんどの栄養が吸収されると、不要なものが大腸に送られ、水分を抜かれて便となって出ていきます。しかし、栄養の消化・吸収に必要な唾液や胃液、小腸の消化液(小腸液)は、加齢とともに減少。すると、しっかり栄養を摂っていても、腸で吸収されずそのまま体外に排泄される可能性があるのです」

日頃の偏食に夏の低栄養、そして加齢による消化・吸収力の低下が重なると、かなり危険な状態。コロナ禍で出かけることが減った昨今は、運動不足も加わり、フレイル(虚弱状態)になるおそれがあります。

「フレイルには本来、運動と食事の両面で対策をしますが、そもそも運動をしないから食欲がわかない、食べないからスタミナがなくて動きたくない、という悪循環に。フレイル対策という観点でも、栄養をしっかり摂ることが重要です」

とはいえ、食欲がわかないのに食べるのは苦痛でしかありません。そこで、赤石さんがおすすめするのが「キウイ」です。

たんぱく質の消化を助ける酵素がポイント

キウイは、「栄養素充足率」が高い身近なフルーツ。栄養素充足率とは、100gあたり栄養素が基準値に対してどのくらい含まれているかをインデックス化したものです。

「キウイには、ビタミンCやビタミンE、食物繊維、マグネシウム、葉酸、カリウムなど、健康に欠かせない栄養素がたくさん含まれています。なかでも注目したいのはアクチニジンという酵素です。アクチニジンはたんぱく質の消化を助けてくれます。たんぱく質は筋肉の材料となり、フレイル対策にも重要な栄養素。しかし、糖質などと比較して消化しにくいため、分解を促進するキウイと一緒に食べると、効率よく栄養が摂れるというメリットがあるのです。おすすめは、キウイを肉料理のソースに活用するメニュー。食欲が低下する時期でもさっぱり食べられ、しっかり消化もできます。あるいは、下ごしらえにキウイを使うのも手。キウイを小さくカットして肉にまぶしておくと、アクチニジンの働きで硬い肉が驚くほど軟らかくなります。この場合、キウイは食べずに処分することになりますが、ぜひ試してみてください」

料理にあわせる以外に、食後に食べるのでもOKだそう。

「種類や量にもよりますが、たんぱく質は胃の中に4〜5時間程度とどまっているため、キウイを食後のデザートにしてもたんぱく質をしっかり分解してくれます」

さらに、キウイは発酵性食物繊維を多く含むので、便が作られやすくなり、大腸がきれいになる効果も。

「高齢者で便秘薬を服用している人は少なくありません。便秘が続くと腸内環境が悪化するため、免疫力の低下などにもつながります。また、胃の働きも悪くなるため、消化に悪影響が。便秘がちな人ほど、キウイを食べるとよいでしょう」

栄養を効率よく摂れ、腸内環境も整える万能フルーツ、キウイ。1日1個食べる習慣で、元気に過ごしましょう。

「蒸し鷄のキウイチリソースかけ」
レシピ

■作り方

  • ①鷄ささみは筋を除いてAをまぶして5分 置く。耐熱皿にのせてふわっとラップをかけ、 電子レンジ(500W)で2分半加熱する。あら熱がとれるまでそのまま冷ます。
  • ②①のラップを外して鷄ささみを大きめに裂き、蒸し汁につけたまま、さらに冷ます。
  • ③グリーンキウイ1個はいちょう切りに。Bのグリーンキウイ1個は粗めのおろし金ですりおろして、調味料を加えてよく混ぜ、キウイチリソースを作る。
  • ④ボウルにささみの汁気を切って入れ、③のキウイとキウイチリソースで和える。
  • ⑤皿に④を盛り、あれば、香菜やナスタチウムの花をあしらう。

■MEMO

必要なたんぱく質と、その消化を助けるアクチニジンが一緒に摂れるメニューは、胃が疲れてちょっと食欲が落ちた暑い日におすすめ

お話を伺ったのは
赤石定典さん(あかいし さだのり)
管理栄養士。華学園栄養専門学校卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部勤務。入院患者の献立作成や栄養管理の指導などを行っている。著書に『慈恵医大管理栄養士が教える 美肌、太らない、老けないは食べ方が9割』(共著)など