日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【月下美人】」です。

 

大きな花から夜、甘い芳香を放つ

この植物は、夏の夜の10時ごろ、甘い芳香を放ちながら誇らしげに、白い大きな花をゆっくりと広げます。満開になって数時間後には、はかなく、見守る人々に惜しまれながら萎んでしまいます。その風情が、「月下の美人」といわれる所以(ゆえん)です。

白い大きな花から甘い芳香が漂うので、植物園などでは、これをぜひお客さんに見せたいのです。ところが、夜の10時ごろに開き、花の寿命が数時間なので、お客さんに見せられないのです。そのため、「植物園泣かせの花」といわれます。

夜中に花開くゲッカビジン

そこで、この花を昼間に開かせる方法が、工夫され、確立されています。この花は大きな花ですから、開花前のツボミも大きくなります。開花に向けて、日々、大きくなってくるのです。