ほほお。叩けばいいのね。たしかに私は眉ペンシルを使って描いていたのだが、右と左の眉尻の太さと角度が上手にいかず、これも面倒の種となっていた。

こうして彼女にあれこれ教えられ、帰宅したのち納得した。つまりメイクは気楽にやれってことね。

今や街中に出れば、私よりはるかにメイク上手の女性がわんさかおられる。ついこの間もスーパーのレジで会計をしてくれている若い女の子の顔を見て驚愕した。なんときれいな眉。なんと分厚く美しく長いまつげ。なんとなめらかな肌であろう。

若いのだから肌がきれいなのは当たり前かもしれないが、どこから見てもナチュラルで整ったメイクの仕上がりぶりではないですか。

「なんでそんなにメイクが上手なの?」

思わず声をかけそうになったほどである。今さら彼女たちほど美しくはなれないのはわかっているが、せめてメイクを苦と思わない女になってみたい。

で、ちなみに私はアイブロウパウダーってものを持っていないので、今、アイシャドウで眉毛をポンポンしているのですが、これぐらいの気楽さでよろしいかしら、イガリシノブさん?


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