日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【枇杷】」です。

 

学名は「エリオボトリア ヤポニカ」でも原産地は中国

この植物の学名は「エリオボトリア ヤポニカ」で、「ヤポニカ」は「日本生まれの」という意味です。属名である「エリオボトリア」の「エリオ」は「やわらかい毛」を意味し、「ボトリア」は、「ブドウのように房状になる」という意味です。

ですから、学名は、「やわらかい毛に包まれた実がブドウのように房状になる、日本生まれの植物」ということになります。いかにも日本生まれのようですが、原産地は中国とされます。「ビワ」という名前は、実の形、あるいは葉の形が、日本古来の楽器、琵琶に似ているからといわれます。楕円の形の実を「ビワ」という説もあります。

日本では、奈良時代に栽培されていたようですが、当時の果実は、かなり小粒のものでした。現在のような大きさの果実になったのは、江戸時代に、中国で栽培されていたタネが長崎にもたらされたのがきっかけでした。これが、「茂木(もぎ)」という品種で、「田中(たなか)」「長崎早生(ながさきわせ)」とともに、この果物の「3大品種」です。