荻原博子さん「子供の未来を考えるなら、親世代の常識はすべて捨てて」(写真:中央公論新社)
社会が激変している昨今。コロナ禍もあって「一所懸命働けばそれだけで食べていける」という時代ではなくなりました。それでも子供には安定した豊かな生活を送ってほしい……。当たり前の親心かもしれません。経済ジャーナリストの荻原博子さんは「求められるのは、自分自身の判断でお金と上手く付き合っていける知恵。そしてその『知恵』を教えてあげることこそ、親が子供にできる最高の贈り物」だと断言します。

コロナ禍で安定した収入を得るのがさらに困難に

新型コロナ禍で会社が倒産したりお店が閉店したり、倒産しないまでもリストラされたり給与カットになったりと、思いもしなかったことが次々と起きました。

アルバイトで学費を稼いでいたのに、バイトがなくなってしまって大学をやめざるをえなくなったという学生も多数いました。

しかも、新型コロナ禍を境に変わった社会が、また元に戻るのかといえば、そうではありません。新型コロナ禍で急激に社会の仕組みが変わり、新しい時代になったのです。

新型コロナ禍を乗り切るために、企業は雇用の調整弁となってきたパートやアルバイトを大量に解雇しました。しかも、今まで日本に残っていた「終身雇用」や「年功序列」などの雇用形態も変えようとしているので、雇用の流動化が激しくなっています。

よく言えば転職しやすい社会になってきたということですが、いっぽうで細切れの働き方が増え、仕事を掛け持ちしなくては安定した収入を得られなくなってきています。