「正直な気持ちを言えば、結果に対しては悔しかったし、情けないとも思いましたよ。私にとって最後の五輪となる東京は、やっぱりメダルを獲ってカッコよく終わりたかった。」(撮影:大河内禎)
東京五輪で女子ウエイトリフティング(重量挙げ)49kg級に出場した三宅宏実さん(35歳)。2004年のアテネ以来5大会連続で出場となる今大会は「21年の集大成」として臨んだが、記録なしという結果に終わった。試合後、涙を浮かべながらも競技人生を「満足」と振り返った三宅さん。その真意は――(構成=吉井妙子 撮影=大河内禎)

体も心も限界を超えていた

試合が終わって1ヵ月が経ちました。正直な気持ちを言えば、結果に対しては悔しかったし、情けないとも思いましたよ。私にとって最後の五輪となる東京は、やっぱりメダルを獲ってカッコよく終わりたかった。ただ、この数年、徐々に記録が下がっていくなかでも、コンディションのピークの作り方や、状態が悪いなかでの気持ちの持っていき方を、後輩たちに背中で示せたのかな、と思います。

今、冷静に振り返ってみると、2016年のリオ五輪から東京に向かう5年間は、体も心も限界を超えていた気がしますね。

何しろ故障続きで、19年には腿の肉離れ、その後は腰の疲労骨折、膝のケガなどに見舞われ、思い通りの練習ができなかった。体のあちこちが痛くても、いい時の感覚を覚えているので、その状態を取り戻したくて無理をする。無理をすればまたどこかを痛める。その繰り返しで、日々葛藤を抱えていました。

特に30歳を過ぎたあたりから、体の衰えを自覚するようになりました。関節は確実に硬くなり、疲れは取れないし、瞬発力もなくなってくる。これが30代の体なんだとは認めたくないけど、現実は誤魔化しがきかない。以前はもっと練習できたのに……。