ブレイディみかこさんが『婦人公論』で連載している好評エッセイ「転がる珠玉のように」。今回は「オンライン面談に気をつけろ」。ブレイディさんの息子さんの学校でも、保護者面談がオンラインになり……。(絵=平松麻)

教科ごとに違う先生との5分間の面談

コロナ禍になってから、他者とパソコンやスマホのスクリーン越しに会うことが常態化した。息子の学校でも、年に一度の各教科担当教員との保護者面談をオンラインで行った。これはリアルで行われるときには大変忙しいイベントだ。教科ごとに違う先生との5分間の面談の予約をネットで入れる。例えば、午後4時に数学の先生の予約を入れて、4時5分に歴史の先生と会って……、というふうに手動で行うこともできるが、けっこう面倒なので、会いたい先生たちを選んでクリックすると、できるだけ短時間になるよう(つまり次の先生に移るときの待ち時間がないよう)ソフトウェアが自動予約してくれる。

リアルで行われるときは、会場は学校のホールといくつかの教室だ。そこにずらりと机を並べて先生たちが椅子に座っていて、保護者が先生の間を移動する。で、同じホールや教室内に次の先生がいると楽だが、そうでない場合にはぜえぜえ言って走りながら教室やホールの間を移動する。この苦労を体験すると、多くの保護者たちは切れ目なく予約を入れてしまうソフトウェア任せにせず、各先生の間に5分とか10分の余裕を持たせるように自分で予約するようになる。そうなると、5、6人の会いたい先生がいる場合、どうかすると1時間半から2時間かかったりする。さらに、面談というものは遅れがちなので、1人の保護者との面談が2分長引いたとして、10人目の保護者のときには20分もの遅れが生じていることもざらだ。