英語で聖書を読むとわかること

旧約聖書のハイライトは預言書だ。拾い読みでもかまわない。イエスは旧約聖書からたくさんの引用をした。「汝の主である神を愛せ」も、「汝の隣人を汝自身のように愛せ」も引用である。協会共同訳には引用が注記してあるので、イエスがどこから引用しているのかすぐわかって便利である。

イエスが十字架で亡くなったあと、残された人びとはその意味を考えた。それは愛のしるしで、人びとを罪のあるまま救うわざであると。このキリスト教のロジックを、しっかりのべているのがパウロの書簡だ。そこで仕上げに、ローマの信徒への手紙、を読むのがよい。

というのが標準コースだが、敷居が高いなあと思うひとは、橋爪大三郎『はじめての聖書』(河出文庫)を読みなさい。小学校高学年向きに、聖書のエピソードをまとめてあって気軽に読める。桃太郎やかちかち山のように、欧米人なら誰でも知っている内容だ。

そのつぎは、橋爪大三郎『教養としての聖書』(光文社新書)はどうだろう。聖書から六つの書物を取り上げ、さわりを紹介してある。聖書をまるごと読んだような気がするお得な新書だ。

さて、余裕があればぜひ試したいのは、英語で聖書を読むこと。KJV(キングジェームズ欽定訳)は古くさいので、最近はいろいろ版が出ている。読んでみるとわかること。日本語の聖書は神に対する敬語だらけだが、英語の聖書にそんなものはない。人間と神は対等に口をきいている。これがほんとうだ。あと、旧約聖書はユダヤ教の聖典だから、勝手にキリスト教の訳語を持ち込んではいけない。この点、英語の聖書のほうが学術的にずっとしっかりしている。

まあ、贅沢は言わない。ともかく聖書を読みましょう。その前にまず、買いなさい。買わなければ、話になりません。

『聖書 聖書協会共同訳』(日本聖書協会、2018年)

ユダヤ教およびキリスト教の聖典で、言わずと知れた「人類の古典」。この聖書協会共同訳は、従来訳の改訂ではなく、原文を一から訳出したもの。1987年に刊行された新共同訳以来、約30年ぶりの新訳となる。プロテスタントとカトリックが共同で訳し、約9年の翻訳期間を経て刊行された。