日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【胡瓜】西方の胡の国から来た瓜」です。

 

有性生殖の意義をよくわきまえた植物

キュウリは、中国では、「西方の胡(こ)の国から来た瓜」という意味で、「胡瓜」と書かれました。「唐瓜」との名称もあります。日本には、平安時代に伝えられたとされます。

この植物は、雌雄同株という性質をもっており、雄花と雌花が別々に同じ株に咲きます。この性質について、「別々に咲くことに、どんな意味があるのか」との疑問が浮かびます。

生き物が生殖行為をすることの意義は、個体数を増やすことだけではなく、いろいろな性質の個体(子孫)をつくることです。いろいろな性質の個体がいると、さまざまな環境の中で、どれかの個体が生き残り、その生物種は存続していくことができます。

いろいろな性質の子孫をつくる生殖の方法が、雄と雌に性が分かれ、オスとメスが合体することによって子どもをつくるやり方です。これを「有性生殖」といいます。

オスとメスが合体することによって、オスの個体のもつ性質とメスの個体のもつ性質が混ぜ合わされ、いろいろな性質をもつ子どもが生まれます。

雄花と雌花が別々の雌雄同株の植物では、同じ株の花粉がつくことはありますが、他の株の花粉がついて子孫をつくる可能性は高く、いろいろな性質の子孫が生まれます。

雌雄同株の植物たちは、有性生殖の意義をよくわきまえた植物といえます。

雄花と雌花が別々に同じ株に咲く