来る2023年、中公文庫は創刊50周年を迎えます。その記念プレ企画として、本連載では「50歳からのおすすめ本」を著名人の方に伺っていきます。「人生100年時代」において、50歳は折り返し地点。中公文庫も、次の50年へ――。50歳からの新たなスタートを支え、生き方のヒントをくれる一冊とは? 第3回は、株式会社経営共創基盤 IGPIグループ会長の冨山和彦さんに伺います。

冨山和彦(とやま・かずひこ)

株式会社経営共創基盤 IGPIグループ会長。
株式会社日本共創プラットフォーム(JPiX)代表取締役社長。
1960年生まれ。ボストン・コンサルティング・グループなどを経て、産業再生機構業務執行最高責任者(COO)に就任。カネボウをはじめ多くの再生案件に関わる。機構解散後、2007年に経営共創基盤を設立。近著に『コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画』『コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える』『「不連続な変化の時代」を生き抜く リーダーの「挫折力」』など。

人生100年の時代、50歳の転換点に何を読むか

一言でいえば古典です。古典ならなんでもいいと思います。

50歳という節目は職業人としても、生活者としても人生の転換点を迎える頃です。そして自らの意思で、これからの生き方について選択することが求められる時期でもあります。

例えばサラリーマンなら、順調に出世するにしても、関連会社に出向するにしても、それを断って早期退職するにしても、組織の論理に従う人生を続けるか、自らの才覚と信念で生きる人生に踏み出すか、を能動的に選択できるおそらく最後のチャンスでしょう。生活者としても、体力面、気力面、家族面などで大きな節目に直面する年頃です。親の介護なども大きな課題となり始める時期です。

人生100年の時代、残り半分となったけれどまだそれなりに長い人生。その一方で新たな選択肢が増える可能性は年々下がっていく人生をどう生きるのか。よくあるノウハウ本はほとんど意味を持ちません。

古典は、人間について、人生について、何か本質的なことを描き出しているからこそ、時代を超えて読み継がれています。はっきりした正解はそこに書いてありません。しかし、困難や煩悩に対峙して、そこで苦悩し挫折し誘惑に負ける人間像、そこから何らかの光明を見出し乗り越える人間像……善悪、情理、勝敗、損得、愛憎の狭間で揺れ動く人間の姿は、これからの選択を考える大きな助けになるはずです。