イラスト:MARUU
阿川佐和子さんが『婦人公論』で好評連載中のエッセイ「見上げれば三日月」。今回は、「人生の最後に三つの目標を持つことが望ましい」と老紳士に言われ、どれも達成するのは難しいと感じる阿川さん。その3つの目標とは――。

※本記事は『婦人公論』2021年11月9日号に掲載されたものです

男は人生の最後に三つの目標を持つことが望ましい。七十五歳の紳士がゴルフをしながらおっしゃった。

氏いわく、一つ目はエージシュートを成し遂げること。二つ目は娘と同世代のガールフレンドを持つこと。そして三つ目が、おしゃれであること。

ゴルフをしない方に少々ご説明いたしますと、エージシュートとは、自分の年齢と同じ、もしくはそれ以下のスコアで18ホールをまわり切ることである。これは容易に実現できるものではない。

決められた打数(パーという)で全ホールをまわれば72打となるが、プロのトーナメントで上位に食い込む選手は72打より少ない打数、すなわち60台や、ときに50台のスコアを記録することもある。

現在、私は六十七歳。素人の私がプロ並みのスコアを出せるわけがない。ゴルフ歴十五年になる私でも100を切ることがときどきあるぐらいだ。

つまり、今の実力を維持できたとして百歳になればなんとかエージシュートを取れるかもしれない。しかし年齢とともに体力は確実に衰えていく。だからエージシュート達成は不可能だ。でも、希望を捨てないことは大事である。これから切磋琢磨して今よりもう少し上手になり、体力気力記憶力を保ち、せめて九十歳になるまでにスコア90以内であがることができたら……。

ま、たぶん無理でしょうけれどね。でももしかしたら達成できるかもしれないでしょ。