イラスト:小林マキ
冬の乾燥期に流行する風邪やインフルエンザ。昨年は新型コロナウイルスの感染対策が功を奏して、患者数が激減しました。果たして今年はどうなるのでしょうか? 感染症の専門医に今年の傾向と対策について聞きました(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》)

緊張感のゆるみが隙になる!?

例年、大流行するインフルエンザですが、昨年は患者数が激減。「その要因は、新型コロナウイルスの感染対策が習慣化したことにあります」と話すのは、KARADA内科クリニック院長の佐藤昭裕先生です。

「マスクの着用と手指の念入りな洗浄が、インフルエンザの感染も抑え込んだといえるでしょう」

とすれば、今年もインフルエンザは流行しないのでは? と予測したくなりますが、そうとはいい切れないようです。

「今年の夏にインドやバングラデシュでインフルエンザが流行した例もあり、日本で流行する可能性を指摘する専門家もいます。この冬は新型コロナの第6波も懸念されており、インフルエンザとダブルで感染するおそれもありますから、油断は禁物です」(佐藤先生。以下同)

加えて佐藤先生は、このところの新型コロナの感染者数の減少や緊急事態宣言解除などによる感染対策のゆるみを心配しています。解放感からか、マスクなしで会話をするグループの姿も多く見受けられるからです。

「手洗いやアルコール消毒にしても、さっと済ませてしまう人が多くなっているのではないでしょうか。インフルエンザはインフルエンザウイルス、風邪はアデノウイルスやRSウイルスが体内に入ることで発熱などの症状を引き起こします。原因となるウイルスは異なっても、新型コロナと同じ『感染症』。予防策としては、体内にウイルスを入れないようにするしかありません」

今一度、新型コロナ対策で身につけた予防法をしっかり見直しておきたいところ。

「せきやくしゃみを手で押さえたり、鼻をかんだりした後や、調理・食事の前後、トイレを利用した後、不特定多数の人が触れる共有物に触れた後は、手洗いもしくはアルコール消毒を行うようにしましょう。また、『人込みを避ける』『体調が悪いときは休む』『定期的な換気』を心がけるようにしてください」

ウイルスの侵入をブロックするだけでなく、体の免疫機能を高めておくことも大切です。

「バランスのよい食事を心がけ、分な睡眠をとること。睡眠時間が通常より2~8%短くなると、風邪の罹患率が上がることがわかっています」