綾小路きみまろさん「ネガティブなことしか思わなくなったという、そこの奥様! それは、あなたが今、恵まれた環境にいるからこそ感じられるネガティブです」(写真:本社写真部)
52歳でメジャーデビュー、昨年70代に突入した人気漫談家・綾小路きみまろさん。漫談のネタ作りを「ライフワーク」と語り、最近では70歳から始めたYouTube配信に力を注いでいるそうです。そんなきみまろさんに「続けるコツ」を聞けば「人は好きなものしか続けられない。好きなものを見つけられないあなたにはアドバイスがある」そうで―。

長年趣味だった骨董集めを辞めて

先日、60代後半の仕事の関係者に、こんなことを聞かれました。

「『ボケ防止に日記をつければいい』と言われて実践しましたが、3日しかもちませんでした。また、日記だけじゃなく、習字や絵などの習いごとを、2年に1回くらいのペースで続けてきましたが、どれも長く続かなかったんです。きみまろさんって、骨董とかウォーキングとか、長く続けている印象がありますけど、続けるコツってありますか?」

私の父親は、日記を毎日、欠かさずつけていました。偉いなーと思っていましたね。字のうまい人だったから、キレイな日記でね。

日記、私にはとてもできません。人には、向き不向きがありますから。自分に向いていないことを続けるのはしんどいですね。

こういう場合、いちばん簡単なのは、「自分の好きなことをやること」ですね。「やらされること」ではなく、「やりたいこと」を始めるべきだと思います。

私は長年、骨董品集めを趣味としてきましたが、ついにやめました。集めていくと、だんだんキリがなくなってきたからです。

しかし、それまでは情熱を注いでいましたねえ。

当初は焼き物や掛け軸といった定番の品を集めていたのに、次第に、筵(むしろ)織り機なんて突飛な品にまで手を出していました。そんな物のどこが面白いのか、と思われるかもしれませんが、私に言わせれば、なんとも麗しいお姿をしているんです(ハアハア……)!

ちなみに、コレクターにとって奥様は最大の敵。コレクションが増えれば増えるほどくり返される、夜ごとの「捨てる」「捨てない」の綱引き大会。そして、いつしか私も、気づいてみれば、文字通りの骨董品……。