保育園や託児所は「ウイルス取引所」

「今年は、ふつうの風邪がどんなことになってしまうのか、われわれにはわかりません」

という不気味なことを医療専門家がテレビで話していたが、ふつうの風邪がどんなことになってしまうかは、わたしはもう体験的に知ってしまった。断言しておこう。えらいことになる。香港でも、昨年の秋、学校での対面授業の制限が緩和されたときに風邪が大流行したらしい。コロナ禍の厳格な行動規制とその解除は、ふつうの風邪を猛獣にしてしまうのだ。

この免疫力低下の問題が切実に理解できるのは、わたしには保育士として働いた過去があるからだ。いまでも覚えているが、働き始めた最初の年の冬、わたしは死ぬ目にあった。次から次へと風邪にかかったり、お腹を下したり、吐いたり、とにかくずっと具合が悪かった。保育園や託児所は、ある意味「ウイルス取引所」のような場所と言ってもいい。子どもたちがさまざまなウイルスを持ち寄り、互いにうつし合い、一人治ってはまた誰かが発熱して病気になる。保育士はそうした子どもたちと最前線で触れ合い、鼻水を拭き、オムツを替え、吐しゃ物を始末するのだから、いかにゴム手袋やエプロンで武装していても、さまざまなウイルスに感染してしまう。子どもが保育園に通い出すようになると、保護者たちが「子どもがしょっちゅう病気をもらってくるようになったのでこっちまでうつされて大変」とよく言うが、その10倍ぐらい大変な日常を想像してほしい。