冬に向けて医療崩壊が懸念され

ところが、人間の免疫力というのは想像だにしなかったほどすごいものだった。このように連続的に具合の悪い1年間を過ごすと、2年目には鋼鉄の人間ができあがっていたのである。はっきり言ってまったく病気をしなくなった。家族がみんなインフルエンザで倒れていようと、ノロウイルスが大流行していようと、「は? それ、何のこと?」と一人だけ元気で、バリバリ動き回れるスーパーヒューマンになっていたのである。「保育士になってよかったと思うことは?」と人に問われると、わたしは迷わず「体が丈夫になったこと」と答えたものだった。

が、わたしはもはや保育士ではない。こんなふうに毎日、机の前に座ってキーボードばかり打っているのだから、体の免疫力がすっかり弱まっているのも当然だ。そこにコロナ禍である。「対児免疫」だけでなく「対人免疫」まで失ってしまったから、たかが風邪ごときで地獄の苦しみを味わっているのである。

再びコロナ感染者数も増えている英国では、冬に向けて医療崩壊が懸念されている。風邪をこじらせて病院に行く人が急増しているからだ。そのため、医療関係者が一般の人々に呼びかけを始めている。

「きちんとマスクを着用し、頻繁に、そして丁寧に手洗いを行いましょう。風邪にかからないように」

ぐるっと回ってまた振り出しに戻っている。そんな気がするのはわたしだけだろうか。