床に崩れ落ち、天井を仰いだ
地元に戻ると、気は進まなかったが、無理やり後期試験の準備を始めた。
もし落ちれば、試験は3月中旬。合格発表は下旬まで持ち越しだ。
早くこの重圧から解放されたかった。
合格発表の日は自宅で迎えた。
大学まで掲示板を見に行く交通費がもったいなかったので、姉にネットで見てもらうことにした。
時間になると、着信があった。
「あったよ」
その言葉を聞いて、床に崩れ落ち、天井を仰いだ。
しかし、合格は希望に満ちた船出の合図ではなく、これから始まる4年間の波乱万丈な苦学生生活の、はじまりを告げるものだった。
後日談だが、Jは私と同じ大学Cに合格したが、蹴って浪人。
翌年、私が志望を変える前の第一志望だった関西の難関国立大Aに合格し、Sは浪人して私と同じ大学Cに合格した。
その知らせを聞いて、私の家にも浪人できる経済力があれば、第一志望だったAやBを受けられたのかな、と思うことは何度も思った。実家にお金がある、それだけでどれだけ選択肢が広がるだろう。
そんな複雑な思いになるたび、たらればの話をしても仕方ない、と言い聞かせてやり過ごしている。