日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【竹】」です。

 

キク、ウメ、ランとともに「四君子」に選ばれている

タケは、まっすぐにすくすくと伸びる成長力と、厳しい寒さの中で緑を保つ生命力を身につけています。

そのため、この植物は、縁起のよいものとして、年の初めに、お正月飾りの門松として、マツとともに用いられます。

タケは、冬には、「松竹梅」の仲間とともに寒さに耐え、春には、「端午の節句」で活躍します。これは5月5日の「菖蒲の節句」ですが、タケはのぼり棒として鯉のぼりを支え、お祝いの若竹煮では、タケノコが調理されます。7月7日の「七夕(しちせき)の節句」は「笹竹の節句」ともいわれ、タケはササとともに、「七夕(たなばた)まつり」の主役を務めます。

芸術の秋には、この植物は、掛け軸や屏風などの画題となって目立ちます。高潔な美しさや気品と風格に満ちた様子を君子にたとえられる「四君子」に、キク、ウメ、ランとともに選ばれており、その姿が描かれます。また、水墨では墨竹画として主題になります。

このように、この植物は、四季折々に欠かせぬ存在ですが、それだけではありません。タケは、生涯を通して、私たちの身近にいます。

子どものころから、身近な暮らしの素材として、竹とんぼ、竹馬、釣り竿など、遊びや趣味などに使われます。

大人になれば、生活の中で、お箸、ざる、火吹き竹、物干し竿、すだれ、うちわや扇子の骨、和傘の骨や柄、タケの皮などで、生活をともにします。楽器としても、尺八で使われます。

また、健康を朱色の「朱竹(しゅちく)」に託して、衣服にあしらわれたり、色紙画として飾られたり、絵画に描かれたりして、「家内安全」「子孫繁栄」「健康長寿」などが願われます。

高齢になると、背中などの手が届かないところがかゆいとき、掻くのに使う「孫の手」のお世話になります。