たまに会えばかわいい孫でも、関わる時間が長くなるほど、祖父母の負担は大きくなりがち。孫育てについて子どもと意見が合わず、ギスギスすることもあるようです。共働き世帯が広まり孫の育児を手伝うことが増えるなか、衝突を回避する上手なつきあい方はあるのでしょうか? 3人の経験から導き出されることは。(取材・文=田中有)

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◆保育園や学童保育のお迎えに通う、優子さんの場合

「今朝も、『昨日はあの子にずっとテレビを見せてたの?』って娘から電話で文句を言われました」

そう言って鈴木優子さん(69歳、仮名=以下同)は苦笑した。

優子さんの長女一家は共働き。この春、同じマンション内に越してきた。それまでは週に3回、往復2時間ほどかけて優子さんが運転し、夫婦で娘の家に通っていたのだ。

「長女が30代後半のときにやっと生まれた初孫です。私たちも元気だし、力を貸しましょうという気持ちでした」

孫を保育園から連れ帰って晩ご飯の支度をし、娘かその夫が帰宅するまで遊び相手をして過ごす。人見知りが強かった孫は、外に連れ出してもじぃじとばぁばにべったりだった。

しかし、0歳から保育園に通う孫が2歳になった頃から、優子さんはモヤモヤした気持ちを抱え始める。駐車場代やガソリン代を負担し、孫のおやつや娘一家の夕食も用意しているけれど、娘は「孫の面倒をみられてホントに幸せね」と言うだけだ。悩んだ末、意を決して娘にこう告げた。

「お世話ができるのはすごく楽しい。でもここに来るのに、結構負担しているの。悪いけど、その一部をもってくれないかしら」

娘は少し考えてから「……じゃあ、月2万円くらい?」と言ったので、優子さんは了承した。

「ホントは『月3万円かな』という心づもりもなくはなかったんですが。でも娘が支払うと言ってくれたので、まあいいか、と(笑)」