思いがけない病気や住まいの変化、孫にかかる費用など、シニア世代の夫婦には、40、50代の頃とはまた違ったお金の動きがあるようです。4組の家計簿をチェックし、支出の実態や不安の種を調べました。まずは、夫が会社員の二組のケースをみてみましょう。

 

~ハナエさんの場合~

シニア勤務の給料にびっくり

夫婦にはいくつもの生活の節目がある。夫が定年を迎える時期もそう。その後、さらに仕事を続けるにしろ、リタイアするにしろ、ひとつの区切りの時期になることは間違いない。お金の面でもしかり。収入や生活の変化にともない、お金の使い方も変わる。そこで夫がリタイアする前後の方々に、家計の現状を聞いてみた。

「夫は60歳で定年した後もシニア勤務で同じ会社に勤めています。でも、転勤して給料が激減。ショックでしたね」と言うのは、福岡県在住のハナエさん(61歳)だ。

ハナエさんと夫(64歳)はもともと愛知県在住で持ち家もあるが、夫55歳、ハナエさんが52歳のときに東京へ転勤に。夫は定年を迎えた後もシニア勤務扱いで会社に残ったのだが、職場は人間関係がぎくしゃくしており、「辞めたい」とこぼすようになった。とはいえ、61歳で完全リタイアするには若い。

「福岡への転勤の話が出たのはそんなとき。環境も変わるし、『九州に住んでみたいね』と、以前から夫婦で話していたこともあって、即決でした」

そうして夫61歳、ハナエさん58歳のとき、福岡での新たな生活が始まる。ところが転勤後、初めての給与明細を見てびっくり。

「見たこともないほど少ない金額だったんです。それまではシニア勤務の給料に、いろいろな手当が上乗せされていたんですね。それが、転勤にともなって仕事の内容が変わり、上乗せ分のないシニア勤務の給料だけになってしまって」

収入は激減したが、支出面では、福岡の社宅と愛知の持ち家の維持費、住まいに二重のお金がかかることは変わらない。そのうえ、相続した夫の親の家が空き家になっており、固定資産税もかかるのだ。

けれど、この事態がショック療法となり、ハナエさんは一念発起。それまでお金の出し入れはどんぶり勘定だったのが、家計簿をきちんとつけるようになった。支出を見直した結果、夫の小遣いは3分の1に。昼食は手づくり弁当を持たせた。あれこれ入っていた保険は必要なものに絞って整理。服飾費にもお金をかけないことにした。