日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【辛夷】」です。

 

名前の由来は、「握りこぶし」

コブシの学名は、「マグノリア コブス」であり、「マグノリア」は、モクレン属を示します。この語は、植物の分類に功績を残し、フランスのモンペリエ王立植物園の園長を務めた植物学者、ピエール・マニョルの名前にちなみます。コブスは、和名の「コブシ」を意味します。

モクレン属の植物は、コブシをはじめ、紫色の花を咲かせるモクレンや、白色の花を咲かせるハクモクレンが知られています。また、大きな花を咲かせるタイサンボクや、大きな葉っぱで知られるホオも、モクレン属の仲間です。

コブシという名前の由来は、手でつくる握りこぶし(拳)です。果実の形は、ゴツゴツしており、握りこぶしにそっくりです。あるいは、ツボミが開く前の形が子どものこぶしに似ているからともいわれます。

コブシの果実。まるで握りこぶしのよう

千昌夫さんのヒット曲「北国の春」に歌われるように、この植物は春の訪れを象徴する花です。昔の農村では、この花が咲くのを暦の代わりに使っていたのです。花が咲けば田植えをはじめるので、「田打ち桜」とか「種まき桜」とよばれます。