学ぶという夢を原動力に現実を突き破っていた

私は、よくもわるくも、現実を知らなさ過ぎたのだ。

もし、もっとはやく我が家が超ウルトラ級の貧困家庭だと気付いてしまっていたら、
もしかしたら大学進学を諦めてしまっていたかもしれない。

時に夢見る力は、現実を超越することがある。いいか悪いかは別として、私は大学で学ぶという夢を原動力に、気が付いたら現実を突き破っていたのかもしれない。

学びたいと思っても、生まれた家庭の状況は、選択に大きく影響を及ぼすのが現実だ。

しかし、学びたい意欲があれば、誰でも進学できる自由があってほしいと思う。

実際、私は大学に行って本当によかったと心から思う。もちろん貧困ゆえの苦労は想像を絶するものがあった。(その話は前回に)

でも、高校までの、決められたカリキュラムでの中での基礎学力を養うための勉強とはまったく違う、実生活や社会について学べるということが、たまらなく楽しかったのだ。

ずっと知りたかった発展途上国について夢中で調べる日々を送った。実際どんな支援が行われていて、どんな課題があるのか。

物を配るだけでは長期的に現地の人のためにならないと知って、どんな支援が効果的かを考えたり。精神的豊かさと物質的豊かさが比例しないことを知ったり。

学びたい意欲はとめどなく溢れて、どれだけ学んでもまた次の新しい世界が広がっている。そんな毎日は刺激的だった。日々論文を読み漁り、データと格闘する日々を過ごしたが、その過程は今ライターという仕事をする上で役立っている。