いっぽう「th」問題については「rとl」問題同様、学校で叩き込まれた記憶がある。

かつてアメリカに一年間住んでいたとき、幼い子供たちを相手に絵本を読むことになった。手渡された絵本は『きかんしゃトーマス』である。英題は「Thomas&Friends」だ。

私はできるだけ正しい発音で読もうと思い、「th」の部分に来ると、上下の歯の間にしっかり舌を挟んで音を出した。

「ソーマス・イズ・ラニング・トウ・ダ・タウン」

「ソーマス・イズ・クライング」

子供たちがケラケラ笑っている。どうやら私の読み聞かせが受けているようだ。すっかり嬉しくなり、張り切って読み続ける。

すると、私のそばで聞いていた一人の男の子が、部屋の片隅にいる友だちを手招きした。

「ヘイ、ジム!君もこっちに来いよ。サワコがひどい発音で絵本を読んでいるから面白いよ!」

そして私は知ったのだ。「th」は、単語によっては必ずしも舌を歯の間に挟むとは限らない。そして「トーマス」という名前は、日本語同様、「トーマス」(多少、トの部分を破裂させ強く発音するらしいが)だったのだ。