日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【芙蓉・酔芙蓉】」です。

 

狩野永徳の屏風にも描かれた花

フヨウは、背丈、葉の形、植栽されている場所などが、ムクゲとよく似ています。同じアオイ科の仲間だからです。花は、薄いピンクや白色で清楚な感じがし、その姿もムクゲとよく似て、直径も10センチメートルを超えて見栄えがよいものです。花の中央に伸びるメシベの先端が、上向きに曲がる姿が特徴的です。

ムクゲとフヨウは区別がつきにくいといわれますが、フヨウの葉は、ムクゲより一回りも二回りも大きく広がっています。だから、葉を見慣れると、ムクゲと間違うことも識別に悩むこともありません。

ムクゲの葉(左)とフヨウの葉(右)フヨウの葉のほうが大きく広がっているのがわかる

安土桃山時代の画人である狩野永徳(かのうえいとく)の「花鳥図押絵貼屏風(かちょうずおしえばりびょうぶ)」の12面の1つとして、この植物が描かれています。ちなみに、この屏風の残りの11面には、ムクゲ、ウメ、ビワ、ツバキ、ボタン、クチナシ、ケイトウ、ネズミモチ、オオデマリ、ゼニアオイ、ノウゼンカズラの花が描かれています。