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阿川佐和子さんが『婦人公論』で好評連載中のエッセイ「見上げれば三日月」。長年続けているゴルフが上達しないわけは「軸」? はたまた「パター」のせい? 知人に勧められて高額なパターを新調した阿川さんの腕前は果たして――。

※本記事は『婦人公論』2022年6月号に掲載されたものです

ゴルフを始めてかれこれ十七年になる。こんなに長年、夢中になっているにもかかわらず、ちっとも上達しないのはどういうことか。

親しいゴルフ仲間がよく口にする。

「僕のまわりにウロコがいっぱい落ちてるんだ」

その心は、「そうか、そう打てばいいのか。目からウロコだよ!」と、今までに何百回叫んだかという意味だ。

目から落ちたウロコの数だけ、「合点した!」のはたしかであるが、その「合点!」が継続したためしはほとんどない。すぐまた上手に打てなくなる。ボールが当たらなくなる。飛ばなくなる。失敗する。

しかし、しばらくすると再び、「そうか、そう打てばいいのか」と、目からウロコを落とす瞬間が訪れて、もはや自分の目の前には明るい未来しかないかのような爽快感に満たされる。それがまったくもって嘘であるとわかっているのにね。

でも、上達することが困難だからこそゴルフは止められない。もし簡単に会得して、その会得がずっと継続し、技も身体もメンタルもすこぶる強靭になったら、おそらく「こんなものか」と慢心し、いずれ飽きてしまうだろう。

ゴルフに飽きないのは、ゴルフの神様が、プレーヤーをたまにちょっとだけ有頂天にさせ、まもなくとことん落ち込ませることを、たくみに繰り返すからにちがいない。