エネルギーについて正しく知り、考える機会を

竹内今日のテーマのひとつである日本のエネルギーにとっても、バランスはたいへん重要なキーワードなんです。現在の日本では、暮らしや産業活動に必要なエネルギーのうち、自国で確保できる割合である「エネルギー自給率」が9.6%しかありません。これは、先進国のなかでも極めて低い数字です。

西川そんなに低いんですね。

竹内「エネルギー自給率」を上げるには、海外への依存度を減らす必要がありますが、東日本大震災以降は原子力発電所の再稼働がなかなか進まないこともあり、燃料のほとんどを輸入に頼る火力発電の割合が約8割を占めています。つまり、日本のエネルギーの現状は、バランスが大きく崩れてしまっている状況です。

西川エネルギーの問題については、医療と同じように難しい部分がありますから、わかりやすく伝える教育も重要だと思います。「エネルギー自給率が低いのはなぜか」「火力発電の割合が大きくなるとどんな問題があるか」「再生可能エネルギーはクリーンでいいと言われているが、コストや発電量はどうなのか」など、暮らしに欠かせないエネルギーについて、学校でも教え、皆で考えていけるようにしたいですね。それを特に感じたのは、福島第一原子力発電所の事故の後に、風評被害があったときです。私は、医療に必要な知識として放射線の勉強をしたので、空気中にも食物の中にも放射性物質が含まれていて、飛行機に乗れば放射線を多く受けることも知っていました。それをもっと多くの人が知っていれば、必要以上に放射線を恐れることなく、風評被害を防ぐこともできたかもしれません。

竹内知らないことや見えないものは怖いと思ってしまいますから、知識を持つことは大切ですね。資源の乏しい日本がエネルギーを安定的に確保していくためには、ひとつの電源に頼りすぎず、火力、原子力、水力、太陽光、風力などをバランスよく組み合わせる「エネルギーミックス」が重要です。そうしたことを含め、僕も、日本のエネルギーの現状をわかりやすく伝えていきたいと思います。

西川まずは知ることが大事ですが、私は、エネルギーの未来をもっと明るく前向きに考えたいですね。エジソンが世界で初めて電球を発明してから、まだ140年ほどです。その間に、世の中はこんなに進歩しているんですから、新しいエネルギーの発見があるかもしれません。それまでは限りある資源をバランスよく組み合わせ、上手に使っていきましょうよ。

竹内西川先生のお話をうかがって、なんだか前向きな気持ちになってきました。人生もエネルギーもバランスよく明るく考えて、有意義な日々を送っていきたいですね。本日は本当にありがとうございました。