日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【向日葵】」です。

 

太陽の姿を追ってまわる植物

ヒマワリは、「1666年ごろに日本に来た」といわれます。「なぜ、1666年という具体的な年代がいわれるのか」と不思議に思われます。この根拠は、この年に出版された『訓蒙図彙(きんもうずい)』(中村惕斎編〈なかむらてきさい〉)に、ヒマワリが初めて出てくることです。

この植物の属名である「ヘリアンサス」は、ギリシャ語の「太陽」を意味する「ヘリオス」と、「花」を意味する「アントス」から成り立ちます。ですから、「太陽」と「花」が語源であり、「太陽の花」を意味します。この花の形は、太陽が輝いているように見えます。その形にちなんで、英語名は「サンフラワー」で「太陽の花」を意味します。

花の形が太陽に似ているだけでなく、この植物は、中国で「向日葵」と書かれ、「太陽のほうを向いて咲く花」とされています。そして、古くから、「ヒマワリの花は、太陽の姿を追ってまわる」といわれます。しかし、これは俗説です。

花は、大きいだけでなく、実際に手に持ってみると重たいです。そのように重い大きな花が、太陽の動きを追ってまわることはありません。ヒマワリ園などで、何百個、何千個の花が一枚の写真に撮られていることがあります。その写真では、すべての花が、カメラのほうを向く《カメラ目線》です。

ということは、すべての花が同じ方向を向いて咲くのです。その方向は、「東」です。「ヒマワリの花は、一日中太陽の動きを見ることのできる場所では、東を向いて咲く」と決まっているのです。

では、「なぜ、ヒマワリの花は、太陽の姿を追ってまわるといわれるのか」との疑問が浮かびます。この疑問は、葉っぱの動きで解かれます。