日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【鶏頭】」です。

 

鶏の鶏冠にそっくりの花を咲かせる植物

この植物は、中国を経由して日本に古くに渡来しています。奈良時代に編纂(へんさん)された『万葉集』に、「韓藍(からあい)」という名前で詠まれているのが、この植物とされます。安土桃山時代の画人である狩野永徳(かのうえいとく)の「花鳥図押絵貼屛風(かちょうずおしえばりびょうぶ)」の12面の一つとして、この花があざやかな彩色で描かれていることでよく知られています。

夏から秋に、多数の小さい花が帯状に集まって、茎の先端に咲きます。その様子が鶏の頭にある鶏冠(とさか)に見立てられて、和名でもケイトウ(鶏頭)という名前がついています。近年、身近にニワトリが飼育されていないために、鶏冠が知られておらず、帯状の花の集まりがふさふさの毛糸のように見られることから、名前の由来が毛糸と思われていることがあります。

 

鶏の鶏冠(写真提供:photoAC)