帰省が壮大なギャンブルに…?

安心を買うために(息子にぶーぶー言われないために)自腹で予約しておこうか、いや、やっぱりやめとこう、と逡巡している間に時間だけが過ぎていき、こんな行程すらはっきりしない日本行きがほんとに実現するんだろうかと思えてくる。それでなくとも何年かぶりで海外旅行なんてハードルが高いというか、面倒くさいのに、なかなか航空会社に連絡がつかないとかいう不確定要素があると余計に厄介に思えて、正直なところ行きたくなくなってくる。

いや、それでも行かねばならぬ。日本で仕事もあるし、福岡の親父が孫と会える日を指折り数えて待っている。そもそも今、世界中の人々がこの面倒くささを乗り越えて再び移動を始めなければ、世界はどんどん閉ざされ、危険な一国主義の時代へと突入していく。などと単なる自分の面倒くささをやたらマクロなレベルにまで広げて自らを叱咤する日々だが、実は最も大きな不確定要素はほかにある。

飛行機が離陸する72時間前までに受けるPCR検査である。

もし、わたしか息子が陽性を示したりしたら、すべてがその時点でアウトなのだ。われわれは飛行機にすら乗せてもらえない。

それなのに息子は今晩、中学卒業時の定番行事であるプロム(ダンスパーティー)に出かける。もうマスクなんて誰もしていない英国で、数百名のティーンのダンパが行われるのだ。そりゃあ中学生活最後の無礼講とばかりに、飛沫やウイルスも飛んだり跳ねたり盛大に踊り狂っているだろう。

こうなってくるともう、日本行きを企てていること自体が、壮大なギャンブルに思えてきた。

できるかな。3年ぶりの帰省……。