(写真提供:Photo AC)
2021年10月13日、膵臓がんのため58歳で逝去された作家・山本文緒さん。余命宣告を受け、それでも書くことを手放さなかった山本さんが、最期まで綴っていた日記が『無人島のふたり: 120日以上生きなくちゃ日記』として先日出版され、大きな話題になっています。今回同書より特別に、山本さんが軽井沢の自宅から、東京へセカンドオピニオンを聞きに行った日とその翌日の日記を配信いたします。

6月1日(火)

昨日までの不調が嘘のように元気に目覚める(抗生剤が効いた模様)。

今日は東京築地の国立がん研究センターにセカンドオピニオンを聞きに行く一大イベントである。

ここ数日の体調不良で私が出かけられなかった場合、夫と私の兄のふたりで行くつもりだったそうだが、私は這ってでも行くつもりでいた。自分の目で見て自分の耳で聞かなくては納得がいかない。

ウィッグをつけて久しぶりに新幹線に乗った。空は晴れ渡って、マスクをして東京駅に降り立つと暑いくらいだった。