「4か月ってたった120日じゃん」

初めて直接医者から私の症状を聞いた兄は、やはりショックを受けているようだった。ショックを受けつつも、がんセンター前の広大な築地市場跡を指さして、ここはワクチンの大規模接種会場になるんだよと教えてくれた。

帰りの新幹線のホームで、それまであまり言われたことにピンときていなかったのが、「4か月ってたった120日じゃん」と唐突に実感が湧いて涙が止まらなくなった。

2006年に軽井沢にマンションを買ってから、数えきれないほど何度も東京駅と軽井沢駅を新幹線で往復した。それも本当にこれで最後なのかと思うと残念でたまらなかった。

しかし泣きながらも、『120日後に死ぬフミオ』って本を出したらパクリとか言われるかなとも考えた。

帰宅してシャワーを浴びる気もせず、パジャマに着替えてベッドに入った。もうすぐ死ぬとわかっていても、読みかけの本の続きが気になって読んだ。

金原ひとみさんの『アンソーシャル ディスタンス』、死ぬことを忘れるほど面白い。