クロード・モネ《睡蓮》1916年油彩、カンヴァス国立西洋美術館(松方コレクション)

 

国立西洋美術館開館60周年記念
松方コレクション展

〜9月23日
国立西洋美術館
☎03・5777・8600(ハローダイヤル)

モネ、ゴッホ、ロダン……
世界有数の名作を集めて

神戸の実業家、松方幸次郎(1866-1950)が収集した、西洋の絵画や彫刻などからなる松方コレクション。本展は、その収集と散逸の記録を紹介する展覧会だ。

1916年よりヨーロッパで仕事をしていた松方は、“本物の油絵を見る機会のない日本の洋画家たちに、本場の作品を見せてやりたい”と考え、自ら構想した「共楽美術館」の設立に向けて乗り出した。彼の豪快な作品の購入ぶりは、当時「(ヨーロッパの)近代絵画の画商たちの店を空っぽにしてしまった」と言われたほど。そしてこの噂の日本人K・マツカタは、芸術家のアトリエにも積極的に訪れた。松方コレクションの顔ともいうべき《睡蓮》は、1921年、ジヴェルニーのモネのアトリエを訪ねた時に購入したもの。この時同時に購入した《睡蓮、柳の反映》は、その後ゆくえがわからなくなっていたが、近年パリで発見され話題になった。また《考える人》や《地獄の門》など、同館が誇る世界有数のロダン・コレクションは、当時のロダン美術館の館長レオンス・ベネディットと松方との個人的な絆の上に築かれた。

オーギュスト・ロダン《考える人》1881-82年ブロンズ国立西洋美術館(松方コレクション)撮影:上野則宏

1910〜20年代にかけて、松方がヨーロッパで購入した西洋美術作品は3000点にもおよんだという。しかしその後、自ら経営する川崎造船所の経営破たんによる売却や、作品を保管していたロンドンの倉庫の火災、第二次世界大戦末期のフランス政府の接収などによりコレクションは散逸。戦後にフランスから寄贈返還された375点を基礎に、国立西洋美術館は設立された。ふだんそれらは常設展示室に飾られているが、本展では世界に散逸した作品とともに、企画展示室に晴れやかに並ぶ。美術館設立を夢見た松方の情熱と、彼が残してくれたコレクションのありがたみをかみしめながら鑑賞したい。

 

カラヴァッジョ展

8月10日〜10月14日
北海道立近代美術館
☎011・644・6882
※以降、名古屋、大阪に巡回

作品も人生もドラマチックに彩られ

17世紀バロック絵画の創始者ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571-1610)。動きに満ちた人物を光と影の強烈なコントラストで描いたその作品は、同時代や後世の画家たちに多大なインスピレーションを与えた。私生活では暴力沙汰が絶えず、とうとう殺人を犯して逃亡生活を送り、その最中に亡くなったという、ドラマチックな人生も知られている。そんなカラヴァッジョの世界を、彼に影響を受けた画家たち「カラヴァッジェスキ」の作品とともに紹介する。名古屋会場は《ゴリアテの首を持つダヴィデ》、大阪会場は《ホロフェルネスの首を斬るユディト》と、会場ごとに異なる傑作が観られるなか、札幌会場のみの紹介となるのが《病めるバッカス》。緻密に描写された静物とともに、自らを酒の神に見立てて描いたとされる、貴重な最初期の作品だ。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ《病めるバッカス》1594年頃油彩・カンヴァスボルゲーゼ美術館蔵、札幌展のみ出品、日本初公開 © Ministero per i Beni e le attività culturali - Galleria Borghese

 

 

ロイヤル コペンハーゲンのアール・ヌーヴォー

〜8月25日
ヤマザキ マザック美術館
☎052・937・3737

ミルク色に輝く動物たち
陶器が生み出す愛らしさ

クリスマスのイヤープレートや、青い小花をレース状に描いたブルーフルーテッドの食器などで知られる、デンマークの陶磁器メーカー「ロイヤルコペンハーゲン」。その世界屈指のコレクターとして知られる日本大学教授・塩川博義氏のコレクションを、動物の作品を中心に紹介する。顔料であらかじめ描いた絵の上に釉薬をかけて焼成する「釉下彩(ゆうかさい)」という技法でつくられた動物たちは、柔らかくミルキーな色合いが魅力的。子犬、小鹿、猫……。その愛らしさは圧倒的だ。

ロイヤルコペンハーゲン《釉下彩仲良し犬置物》1900-03年《釉下彩犬置物ポインター》《釉下彩犬置物ポインター》1923-28年3点とも塩川コレクション/撮影・武井里香