日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【菜の花】」です。

群生している理由
この植物は、4月初旬までに大きく成長します。そのあと、成長した植物の葉や茎が土にすき込まれます。葉や茎は、土の中で微生物により分解され、畑で栽培される作物の養分となります。また、葉や茎に含まれていたデンプンやタンパク質などの有機物は、土中の微生物の数を増やし、それらの活動を促し、土壌の通気性や通水性を高めます。
葉や茎を構成する成分が肥料となるので、これらは「緑肥(りょくひ)」といわれ、緑肥となる作物は、「緑肥作物」といわれます。近年、ナノハナが緑肥作物の代表になりつつあります。ナノハナは、大きく成長する時期が早く、緑肥として役に立つので、群生して育てられています。