概要

旬なニュースの当事者を招き、その核心に迫るBS日テレの報道番組「深層NEWS」。(月〜金曜 午後10時から生放送)読売新聞のベテラン記者で、コメンテーターを務める飯塚恵子編集委員と、元キャスターの吉田清久編集委員が、番組では伝えきれなかったニュースの深層に迫る。
※4月3日から午後7時スタート

新たな議長選出に15回も投票を重ねた米下院。昨年11月の中間選挙で過半数を奪還した共和党の分断が原因だ。民主党のバイデン大統領も4年の任期の折り返しを迎えたが、政権運営には暗雲が垂れ込める。混迷する米政界はどこに向かうのか。笹川平和財団の渡部恒雄上席研究員と早大の中林美恵子教授を迎えた1月18日の放送を踏まえて、編集委員2氏が語り合った。

混迷の米政界共和党の分断

カギ握る強硬派

「共和党は下院でもっと勝つのではないかと予想されたが、それほど勝てなかった。党内の一部の保守強硬派がキャスティングボートを握り、全体を動かす構図になっている」=渡部氏

「下院の過半数218に対し、共和党は222議席。その差はわずかで、造反があれば何も決められなくなる。新議長のケビン・マッカーシー氏に人望がないことも響いた」=中林氏

飯塚共和党の分断はトランプ大統領時代から続く、構造的な問題です。今回造反した議員は「フリーダム・コーカス」という保守強硬派の議員連盟に属しており、トランプ氏に近いとされます。全体で40人ほどおり、マッカーシー氏の選出に6人が最後まで抵抗しました。こうした勢力の存在は、トランプ氏の掲げる米国第一主義やエリート批判への支持が米国民の間に依然として根強くあることを示しています。彼らはMAGA(Make America Great Again)派とも呼ばれます。米国では今後、「決められない政治」が続くことになるのではないでしょうか。

米下院議員選挙”164年ぶり”異例事態©️日本テレビ

吉田2年前にトランプ氏の支持者が議会議事堂を占拠した事件を思い出します。米議会は昨年の中間選挙で、上院は与党の民主党、下院は野党の共和党がそれぞれ多数派を占める「ねじれ議会」になりました。下院を奪い返した共和党ですが、党内に亀裂が入っていることが露呈してしまいました。下院議長は大統領職の継承順位が副大統領に次ぐ2位の要職です。1回目の投票で選出できなかったのは100年ぶりという異例の事態でした。選出まで5日もかかり、時間を浪費しました。米国は民主主義国のリーダーのはずですが、土台はぐらついており、内向きになっていくことを懸念します。