
概要
旬なニュースの当事者を招き、その核心に迫るBS日テレの報道番組「深層NEWS」。(月〜金曜 午後7時から生放送。BS日テレ)読売新聞のベテラン記者で、コメンテーターを務める飯塚恵子編集委員と、元キャスターの吉田清久編集委員が、番組では伝えきれなかったニュースの深層に迫る。
中国海警船の航行が常態化している沖縄県の尖閣諸島。脅威は日増しに高まっており、海上保安庁の体制強化は急務だ。力による現状変更を許してはならず、海上自衛隊との連携を進める必要がある。日本の海の安全をどう守るのか。奥島高弘・前海上保安庁長官と小原凡司・笹川平和財団上席研究員を迎えた2月2日の放送を踏まえて、編集委員2氏が語り合った。
海保と海自急げ連携強化
海警局と軍の一体化
「海警船は戦力としても使える武器を積むようになった。警察権を行使するだけの組織であれば、そのような重武装化は必要ない。実際に使われたら相当なダメージを受ける」=小原氏
「中国は我々をくみしやすい相手とは思っていないはずだ。海保の後ろには自衛隊がおり、さらには日米同盟がある。我々を『弱い相手だ』と中国に思わせないことが大事だ」=奥島氏
飯塚海保は日本の警察機関です。中国海警局も警察機関ですが、2018年から中国共産党の中央軍事委員会、つまり軍の指揮下に入りました。準軍事組織の色合いを強めており、装備のバランスが崩れてきています。昨年11月には、尖閣周辺で海警船に海軍仕様の76ミリ砲が搭載されているのが初めて確認されました。海保の巡視船が積んでいるのは40ミリ砲です。射程が長く破壊力の大きい76ミリ砲は、警察活動には不釣り合いな装備です。国際法は軍艦と領海警備を担う公船を明確に分けるよう求めていますが、中国はない交ぜにしようとしています。

吉田12年の尖閣の国有化以降、海保は周辺海域で24時間365日、緊張を強いられています。昨年、海警船が接続水域内で確認された日数は336日に上り、過去最多になりました。領海への連続侵入時間も過去最長を更新しています。領海内で操業する日本漁船に付きまとう危険な事案も増えています。中国はこの10年、海警船を大型化し、隻数を増やしてきました。1000トン以上の船は130隻を超え、海保の2倍近くに達します。航海技術も向上させており、なかなか尖閣周辺から退かなくなっています。
