日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、身のまわりの植物クイズを出題。今回のテーマは「【石楠花】」です。

「花木の女王」とよばれる
ウメ、ツバキ、タイサンボクなどの花が、「花木の王」とよばれ、それにふさわしい気品、風格を備えています。それらを超えて、花の濃厚さを備えているのは、ボタンです。ですから、ボタンは、中国で「花王(かおう)」という呼び名を得ています。
それに対し、シャクナゲは、「花木の女王」とよばれます。この植物は、女王としての繊細な花の美しさを備え、「ヒマラヤの花」や「深山(しんざん)に咲く花」などといわれる花を咲かせます。夏の冷涼さ、高い湿度という細やかな環境に守られながら育つお嬢様のような植物です。
原産地であるヒマラヤ山脈の中腹に、ネパールという国が位置します。シャクナゲは、この国の「国花」になっています。
その広く厚い葉は、夏の涼しさと高湿度の自生地に適しています。動物にはおいしそうに見えるので食べられるおそれがあるからでしょうか、身を守るために有毒物質「アンドロメドトキシン」を含んでいます。この木の杖を使うと「長生きする」といわれ、この木で物差しをつくると「曲がらない」といわれます。