「じゃあ、あの方に映像化権をお預けしましょう」ということになれば、権利お預け料の一部をまずは著者へアドバンスとして払ってもらい、映像化が本格決定したときに、正式な契約を交わす。

すると、そのプロデューサーなり企画者なりは、脚本の準備やスタッフの人選、キャストの候補案の作成、制作にかかわるスポンサーや資金の調達・調整等に入ることができる。それができたら、あらためて原作者と私をたずねてくる――ことになっていた。ところが、その日はなかなかやってこない、とうとうやってこなかった……ということも多かった。

映像化話のほとんどが、ぽしゃった。

みなさんが日々ご覧になっている原作アリの映画やドラマは、数々の難関をくぐり抜けた、幸運かつ強運な作品なのである。

ぽしゃると、著者も私もハートブレイク。映像化権をプロデューサーに預けて、映像化の正式決定を待たされるあいだに、期待が大きくなってしまっているのだ。

私たちの待ち時間に、映像化権を持っていった彼・彼女たちが何をしているかというと、その人が会社員であれば会社に持ち帰り、会議にかけたりするだろう。

映像化実現のためにどんな組織が必要か、どれくらいのお金やスタッフの労力がかかるのか、などを作品ごとに話し合い、上層部の決裁を受けて、各担当者を決めて……とグイグイ仕事を先へ進めたい。ところが社内で企画を通すのにもひと苦労であるときく。会社組織が大きいほど、面倒も増えるものなのかもしれない。

大手テレビ局勤務のルリさん(48歳・既婚)は、テレビドラマの企画制作に携わっていた。

「会議ではなかなか企画が通らないんです。毎回、上司にケチョンケチョンに言われて、でもやりつづけて。いつも『こんどこそいい企画を出してやる!』と。とにかく怒鳴られっぱなしの会社人生(笑)」

――その件については、私も負けていませんよ(笑)、〈怒鳴られっぱなしの会社人生〉で自分の右に出る人はいないと思っていたんですが。

「なんでこんなこと言われなくちゃならないんだろう? って悔しくて、悔しくて――。何やってもみとめられない、何やっても怒られる、なんでなんだって……(理不尽な上司に)歯向かう態度も取っていた。で、歯向かうから、またボカスカにやられる。もうこんな会社、ぜったいにやめてやる! って、ひとりで泣いて」

――ああ、もうよくわかります。口ごたえなどしたらボスの怒りはさらに燃え盛るのでぜったいにしてはいけないのですが、私はついついよけいなことを言って、長々と怒られていました。