セレスト・ブルシエ=ムジュノ《クリナメンv.2》2013年ポリ塩化ビニル製シート、ポンプ、加熱装置、陶磁器 Installation view:Centre Pompidou-Metz ©Céleste Boursier-Mougenot. Photo: Rémi Bertrand

 

モネやセザンヌの作品とコラボ!

絵画から東洋陶磁にいたるまで、幅広いコレクションを有することで知られるポーラ美術館。本展「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」は、この美術館では初めてとなる現代アートの展覧会である。

とはいえ、単に現代美術を並べるだけではない。リズムを意図的にずらすことで、楽曲に表情や緊張感をあたえる「シンコペーション」という音楽用語がタイトルになっているように、モネやセザンヌなど館が所蔵する近代美術の巨匠たちの作品と現代アートを共鳴させ、作品の新たな魅力を発見していく展覧会なのだ。

オリヴァー・ビア《悪魔たち》(部分)2017年 16個の器、音響機器 フォーリンデン美術館蔵(ワッセナー、オランダ)Image courtesy of the artist and Galerie ThaddaeusRopac ©Oliver Beer Photo: Stephen White

たとえばフランスの現代美術家、セレスト・ブルシエ=ムジュノの《クリナメン》シリーズは、円形のプールに無数のボウルを浮かべたインスタレーション。水の中で大小の陶器がぶつかって妙なる音が響きあい、きらめく水面が絶えず表情を変えていく作品だが、こちらはポーラ美術館が誇るモネの《睡蓮》とともに紹介する。睡蓮の浮かぶ水面を描いたモネの絵画と《クリナメン》がどう呼応して、観る者にどんな印象を残すのか? とても興味深いところである。

また、さまざまな器の内奥の音をマイクで拾って音楽を紡ぎ出すオリヴァー・ビアの《悪魔たち》は、今回同館が所蔵する東洋陶磁とともに展示される。どのような作品になっているかは、展覧会に行ってのお楽しみ。近代の巨匠たちの作品と現代アートとのコラボレーションは、従来の美術ファンにとってはもちろん、アート初心者にとっても、思いがけない魅力に遭遇する有意義な機会となるはずだ。ぜひさわやかな箱根の自然とともに楽しみたい。

 

 

 

ミューズ誕生の秘密を求めて

19世紀末から20世紀初頭にかけて、ウィーンでは、グスタフ・クリムトやエゴン・シーレが活躍し、ウィーン工房などのモダン・デザインが花開いた。本展「ウィーン・モダンクリムト、シーレ 世紀末への道」は、「ウィーンの世紀末文化」とひとくくりにされがちなこの時期の芸術・デザインの潮流を、「近代化への過程」ととらえて18世紀にまでさかのぼり、社会的、歴史的観点から検証する壮大な美術展である。

なかでもクリムト関連の展示は充実しているので、彼のファンにはとくにおススメ。本展のアイコン《エミーリエ・フレーゲの肖像》は、クリムトの生涯のパートナーだった女性の肖像だが、本展では、姉妹でファッション・サロンを経営し、デザイナーでもあった彼女の活動も紹介する。クリムトの理想の女性像を知るうえでも注目だ。

グスタフ・クリムト《エミーリエ・フレーゲの肖像》1902年 油彩/カンヴァス178×80㎝ ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

 

 

 

目を見張る超絶技巧! 名窯が吹き込む命

「マイセン動物園展」では、18世紀初頭、ヨーロッパで初めて硬質磁器製造に成功したドイツの名窯「マイセン」の、動物モチーフの作品約120点を紹介中。マイセンのリアルで可愛らしい動物彫刻といえば、アール・ヌーヴォー期の作品が有名だが、動物や小花の装飾に覆われた《スノーボール貼花装飾蓋付昆虫鳥付透かし壺》の超絶技巧も圧倒的だ。透かし細工の中に小鳥が隠れているので、注意してご覧あれ。

ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー《スノーボール貼花装飾蓋付昆虫鳥付透かし壺》1820〜1920年頃 個人蔵