なぜ6年間に必ず1度やらなければいけないのか? なぜ仕事をしているとわかっているのに平日日中に活動するのか? 保育園のとき、あんなにたくさんいたお父さんはどこへ行ったのか――。PTAの〈クラス役員決め〉を経験した時、その理不尽さに憤慨したというのがノンフィクションライターの大塚玲子さん。それから「同じようにつらい思いをする人をなくしたい」と考え、10年以上PTAに関する取材を続けています。今回はそんなPTAの理不尽の一つ、「学校への寄付」について。お金も人手も足りない学校に、会費やバザーの売上金などで「労働力」の他に「お金」も提供してきたPTA。しかし、その「寄付」は本当に学校のためになっていたのでしょうか――。
善行っぽいけど問題 学校への「寄付」
現状のPTAは、学校への「寄付」と「お手伝い」、すなわち「お金」と「労働力」というリソースの提供をし過ぎ、という問題もあります。
「それの、どこが問題なの?」と思った方もいるかもしれません。現状、教職員も保護者も「PTAというのは学校にお金をあげて、お手伝いをする団体」と思っている人が大半ですし、実際、学校はそれで大いに助かってきたわけです。
「学校には本当にお金(公費)がないんです」と校長先生たちが嘆く通り、学校は国や自治体から、本当に少ない予算しかもらえていません。
でも本来、学校に必要なモノや労働力は、公費という公的な予算=税金で賄う必要があります。義務教育無償は憲法で定められていること。学校に必要なお金を保護者だけで賄えば、当然負担は重くなります。税金なら基本的に応能負担ですが、PTAはすべての家庭に「お金」と「労働力」を一律に課すため、余裕がない家庭ほど大きな負担を負います。
しかも、いまのような強制ベースでの「寄付」やお手伝いは、ますます問題です。自動強制加入のPTAで、つまり本人の同意なく集めた会費で学校に「寄付」をするのは、本当の意味での寄付とはいえません(そのためカギカッコ付きで「寄付」としています)。この「割当(わりあて)寄付」は地方財政法(※)で、はっきりと禁じられているのです。
国(中略)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。