(写真はイメージ/写真提供:photo AC)
なぜ6年間に必ず1度やらなければいけないのか? なぜ仕事をしているとわかっているのに平日日中に活動するのか? 保育園のとき、あんなにたくさんいたお父さんはどこへ行ったのか――。PTAの〈クラス役員決め〉を経験した時、その理不尽さに憤慨したというのがノンフィクションライターの大塚玲子さん。それから「同じようにつらい思いをする人をなくしたい」と考え、10年以上PTAに関する取材を続けています。今回はそんなPTAの理不尽の一つ、「P連」について。あまり知られていませんが、各校のPTAの上位組織として、市区町村ごと、都道府県ごと、そして全国をまとめるPTAネットワーク組織があるそうで――。

PTA役員しか知らない?「P連」とは

P連(ぴーれん)退会の話をする前に、会長・役員さん以外の一般保護者や教職員にはほとんど知られていない「P連」について、ざっと説明しておきましょう。

P連というのは、自治体単位でつくられるPTAのネットワーク組織です。PTA連合会、PTA連絡協議会、PTA協議会など名称はいろいろですが、この記事では、まとめてP連(またはP協)と表記します。

P連は市区町村ごと、都道府県ごとにつくられ(地方ブロックごともある)、全国組織である「公益社団法人 日本PTA全国協議会」(以下、日P(にちピー))に連なります。

各PTA(「単位PTA」「単P(たんピー)」と呼ぶ)は市区町村P連の会員に、市区町村P連(政令市を除く)は都道府県P連の会員になることができます。日Pの会員になれるのは、都道府県と政令市のP連です。保護者や教職員といった個々のPTA会員が、P連の会員になるわけではありません。

各PTAやP連は、基本的に、最も近いP連への加入しか選べません。つまり「市P連には入りたいけれど、県P連に入りたくない」と思っても、その市P連が県P連に入っていれば県P連にも入らざるを得ませんし、逆に「市P連や県P連に入らず、日Pにだけ入りたい」と思っても、これも不可能です。(※稀にこれを許可するケースもあります。)

これまでは加入率が9〜10割のP連が多かったですが、最近は徐々にP連離れの傾向も見られます。

なお、P連の事務局は各教育委員会のなかに置かれていることが多いのですが、これは行政上、PTAが社会教育関係団体として扱われているからです。教育委員会の関わり度合いは、P連によって大きく異なります。良くも悪くも、教育委員会がほぼほぼ仕切っているP連もあれば、保護者がかなり主体的に動かしているP連もあります。

P連のなかには少数ながら、単Pの改革・適正化をサポートするため、情報提供やアンケートを行ったり、校長会に根回しを行ったりしてきたところあります。