どうして熱意も知識もある人を粗末にするの?

卒業してからは、自力で就職活動をしたが「もっと若い人が欲しい。トイレ掃除や洗濯係ならある」、そんな返事ばかりが返ってきた。介護福祉士の資格を持つ女性が、「55歳」というだけでパートのヘルパー待遇で雇われたという話も耳にした。

日本は何でも年齢で区切り、排除し、そのくせ人手不足だという。どうして熱意も知識もある人を粗末にするんだろう。

そのとき56歳だった私は、老人保健施設の介護士になった。正職員として働きたかったが、母ががんを患い病院に転院したため、パートで働くしかなかったのだ。父は他界していたものの、夫が怪我をしてしまいリハビリの通院同行もあった。環境が整わず、行けども行けども光が見えてこない。

働くうち、介護のみならず社会問題にも目が行き、日本は格差がひどすぎると考えるようになった。3年前、両親の介護が終わったのを機に、社会福祉士になることを決心した。この資格を持っていればお年寄りや子ども、ハンディキャップのある人やひとり親家庭など、社会的弱者といわれる人たちの相談業務ができる。

資格を取るため、パートを続けながら1年間で卒業できる学校を探し出し、専門学校の夜間部に入学した。社会福祉士の国家試験は大変難しかったが、なんとか合格にこぎつけた。

大変なのはここからだ。まず就職支援は学校から断られた。学校には若い人の求人しか来ないのだ。30代前半の同級生でも、就職が決まったのは1月頃。しかも低賃金のところだった。

私はパートで十分だと、正職員を諦めることにした。自治体の臨時職員や人材バンクや福祉関係の人材センターに登録し、インターネットでも求人を探す日々。しかしここでも年齢のせいで、簡単には見つからない。

ハローワークにも行き、役所で週3回の勤務という児童関係の事業所を紹介してもらった。窓口の人が「年齢不問」ということも確認してくれ、私にはぴったりだと思った。

面接に行くと20代後半ぐらいの女性もいて、彼女が先に面接室に入っていき、嬉しそうに飛び跳ねて出てきた。なんだか嫌な予感がする。