「漫画の作り方は人それぞれだと思いますが、私の場合は、物語から入るほうです」(撮影:大河内禎)
『アリエスの乙女たち』『あした輝く』『天上の虹』など500を超える作品を発表し、長年にわたり多くの読者に支持されてきた里中満智子さん。近年は国内外で漫画家の権利を守る活動や後進の育成にも尽力しています。その源にあるのは、幼き頃から変わらぬ決心でした。(構成:丸山あかね 撮影:大河内 禎)

<前編よりつづく

真剣に愛することは力になる

「アルバイト禁止」の校則を守るよう高校から強要され、結局3年生の始業式を最後に、高校を中退。大阪から上京して、ひとり暮らしを始める。連載の打ち切りを経験したり、編集者に「君にはがっかりした」と言われたりしても描き続け、70年代には人気漫画家としての地位を確立した。

――これまでに500を超える作品を描いてきました。歴史もの、戦争を題材にしたもの、恋愛や親子関係を描いたものなどテーマは多岐にわたります。

漫画の作り方は人それぞれだと思いますが、私の場合は、物語から入るほうです。この状況を乗り越えるにはどうすればいいんだろう。こんなシーンを描くには、どんな物語にしたらいいだろう。それを表すことができるキャラクター像が明確になっていって、だんだん形ができてくる。

『アリエスの乙女たち』は、血は半分繋がっているけれど、性格が全然違う2人の恋愛模様が描けたらと思って、始めたんですよ。離婚した父親と新しい妻との間にすぐ子どもができたら、異母姉妹で同じクラスという状況はありうるな、と。

毎回「愛とはなんだ」と、キャラクターたちに屁理屈をこねさせようと決めていたので、セリフをひねり出すのが大変でしたね。