知り合ったのは45年前だという、花創作家の志穂美悦子さん(左)と草笛光子さん(右)(撮影:天日恵美子)
花創作家の志穂美悦子さんが、芸名「鬼無里(きなさ)まり」でシャンソン歌手デビューすることが報道されました。アクション女優から花創作家の道に進むまで、草笛光子さんと語った『婦人公論』2024年1月号掲載の対談を再配信します。


******
今回のゲストは、花創作家の志穂美悦子さん、かつてのアクション女優の姿そのままに、鍛え上げられた肉体美はいまも圧巻の一言です。志穂美さんの長女で、女優の文音(あやね)さんと共演したことで、草笛光子さんは志穂美さんに再会しました。会うたびに草笛さんは「生きる馬力」を感じるようで――(構成=篠藤ゆり 撮影=天日恵美子)

アクションスターがお花の世界へ

志穂美 今日はゲストに私を呼んでくださって、とっても嬉しいです。

草笛 私もよ。私はずいぶん前からあなたを知ってるわよね。

志穂美 『熱中時代』のときだから、45年も前ですね。私は22歳。

草笛 あのとき、そんなに若かった? そのわりに貫禄があったわね。

志穂美 一応、小学校の先生役だったから(笑)。草笛さんは船越英二さん演じる校長先生の奥さんで。

草笛 うちに、あなたが下宿している設定だったのよね。

志穂美 よく覚えているのは、リハーサルの合間に草笛さんが必ずバレエのバーレッスンをされていたこと。

草笛 やだ、私、おかまいなしね。そんなバカなことしてた?(笑)

志穂美 してた(笑)。どんなセットでも、どこかをバーにして。私は芸能界に入って現場で肉体をエクササイズされる先輩を見たことがなかったから、いつもその姿を尊敬して見ていました。だからいまも覚えてる。

草笛 なんとか皆さんについていこうと必死だったからよ。あなたはそのままずっと女優を続けるものと思っていたけれど、長渕剛さんとのご結婚であっさり引退しちゃったでしょう。びっくりした。

志穂美 望まれたことなので、仕方ないですよね(笑)。私はいまこの瞬間も、通行人のエキストラでいいから、もう一度映像の現場に戻りたいと思っているんですけど。