付き合い始めた頃に体験した不思議な出来事

野球道を歩み始めた息子達2人に比べて、夫・元木大介の験担ぎは、それはそれは生活の隅々に散りばめられているようだ。
そりゃそうだよな。勝負の世界に住んでいたら、ほんのちょっとした息遣いまでも今日の勝ち負けに影響するのではないかと、これまでも自分自身の中ではこだわりがいっぱいだったんだろうな。

そこへ人が入って一緒に生活しだすと、不思議なことがまあ多いこと。

まだ付き合い始めたばかりの頃、テレビを観ながら食べ物や番組の話で楽しく2人でおしゃべりをしていたときのこと。何気なく私が問いかけたあとに夫が答えてくれた。

「あ、それ知ってんで。前に知り合いの人がドームに届けてくれてめっちゃ使いやすくて…」

当たり前のように次の言葉が出てくるものと思っていたら、突然夫はピクリとも動かなくなってしまった。ゼンマイが切れた人形、トイレに行きたくて一時停止を押して止めたドラマの停止画、メドゥーサと目が合って石になってしまったのかと思うくらい、マネキンみたいに動かなくなってしまった。