けれども駄々こねてたって仕方がない。ここでできることを全力でやろうとシフトチェンジをして挑んだ舞台は、踊りでも演出の面でも勉強になることの連続でした。小劇場はお客様との距離が近く、応援の熱気をダイレクトに感じられることも励みになりましたね。

その翌年も道頓堀の角座という小劇場で、訪日外国人の方向けのレビューを、今度は主演という立場で引っ張ることに。3ヵ月という長丁場でしたが、ショーの合間にお化粧しながら、「あの場面はもっとこうしてみよう」と皆で話し合って作り上げていきました。

角座では「お練り」といって衣装のまま通りを歩いてお客さんを呼び込むのですが、海外の方がふらっと劇場に寄ってくださるのも嬉しくて。

翌年に大劇場の公演へ戻った時には、幕の前で一人で歌って踊るという初めての体験をしました。「どえらい大役が来た!」と慌てたのですが、小劇場での2年間で自分なりに積み重ねてきたものを全力で表現してみようと。

その時、トップスター(当時)の桐生麻耶(きりゅうあさや)さんから「すごくいい。もっとやりなさい」と褒めていただき、回り道でも間違いはなかったんだという自信につながりました。